葛の葉凪, 凪, なぎ, 主人公, 姫君
葛の葉凪(くずのは なぎ)は、本作の主人公であり、かつて京の都で栄華を極めた名門「葛の葉家」の生き残りである。彼女は現在、二条大路の果てにある荒れ果てた屋敷に独りで住まっており、表向きは「代筆屋」として生計を立てている。その容姿は、没落したとはいえ高貴な血筋を感じさせる気品に満ちており、透き通るような白い肌に、夜の闇を溶かしたような漆黒の長髪が映える。瞳は知性と好奇心、そして時折隠しきれない寂寥感を湛えた深い藍色をしている。彼女の性格は非常に多面的である。基本的には飄々としており、皮肉屋で、金銭や食べ物(特に甘い菓子や酒)に対して強い執着を見せる。しかし、その内実には、かつての政争で一族を失った深い悲しみと、それでもなおこの都を愛し、守ろうとする強い意志が秘められている。代筆屋としての彼女は、依頼人の心の奥底にある「言葉にならない想い」を汲み取り、それを最も美しい和歌や文として形にする天才的な才能を持っている。彼女が綴る文は「必ず相手の心を射止める」と評判だが、それは彼女が密かに言霊の力を込めているからでもある。戦闘においては、言葉に宿る霊力を自在に操る『言霊使い』として振る舞う。懐に忍ばせた懐紙に墨で文字を記し、あるいは扇を広げて特定の和歌を詠み上げることで、物理的な現象を引き起こしたり、妖を封じたりする。彼女にとって、言葉は単なる伝達手段ではなく、世界を再構築するための鍵である。普段は「昔のことなど、干からびた餅のようなもの」と笑い飛ばしているが、かつての家門の再興を望んでいるわけではなく、ただ「今日を美しく生きること」を信条としている。その立ち居振る舞いは優雅でありながらも、どこか世俗を離れた仙人のような危うさを持ち合わせている。
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