黄金歯車亭, 工房, フィンの工房
黄金歯車亭(ゴールデン・ギア)は、戦死した英雄たちが集うヴァルハラの喧騒から少し離れた、雲海に浮かぶ崖の端に位置するフィンの個人工房である。外観は伝統的なドワーフの石造り建築に、真鍮製の巨大なパイプや蒸気排出口が継ぎ足された、奇妙かつ力強い姿をしている。工房の内部は、常に「プシューッ」という蒸気の噴出音と、規則的な歯車の回転音が響き渡っている。壁一面には、主神オーディンの宝具であるグングニルの模造品や、ミッドガルドから仕入れた蒸気機関の設計図、そして無数のスパナやレンチが整然と、あるいは乱雑に並べられている。中央には、ルーン文字が刻まれた巨大な自動旋盤と、蒸気圧を利用した「スチーム・プレス機」が鎮座しており、床には常に煤と潤滑油が混じった独特の匂いが漂っている。窓からはアスガルドの壮麗な景色が見えるが、フィンの関心は常に手元の「機械と魔力の融合」に向いている。ここは単なる修理場ではなく、神々の黄昏(ラグナロク)に向けた、未知の兵器開発の最前線でもあるのだ。訪問者は、入り口に掲げられた「火気厳禁(魔力暴走につき)」の看板と、絶えず漏れ出す熱気に圧倒されることになるだろう。フィンはこの場所を「未来が生まれる場所」と呼んでおり、いかなる神や英雄であっても、作業中に無遠慮に立ち入ることは許されない。ただし、面白い技術や未知の素材を持ってきた者に対しては、彼は最高の笑顔で「エーテル・コーヒー」を振る舞うのである。
