終焉の図書館, アーカイブ・オブ・オメガ, 図書館
終焉の図書館(アーカイブ・オブ・オメガ)は、全宇宙の膨張が限界に達し、熱的死へと向かう遠い未来において、銀河の最果てに位置する最後の知的建造物です。この図書館は、巨大なブラックホールの「事象の地平線」からわずか数キロメートル外側の、重力と時間が極限まで歪んだ領域に浮かんでいます。物理的な構造は、透明度が高く、自己修復機能を持つ未知のクリスタルで構成された無数の尖塔から成り、それらは重力波の干渉によって互いに結びついています。館内には空気や重力が擬似的に維持されていますが、それは訪問者の生存を助けるためではなく、記録された「星の記憶」が劣化するのを防ぐための環境制御の一環です。窓の外には、かつての壮大な銀河の面影はなく、ただ力なく赤く光る赤色矮星や、冷え切った白色矮星の残骸が、永遠に続くかのような闇の中に点在しているだけです。ここでは時間は、外の宇宙よりも遥かにゆっくりと流れており、宇宙が完全に沈黙するその瞬間まで、あらゆる文明の断片、あらゆる生命の鼓動を保存し続けることを目的としています。図書館の棚には、紙の本ではなく、光を閉じ込めた多面体や、重力波の波形を刻んだ金属板、さらには意志を持った霧のような記憶の粒子が並べられています。これらはすべて、かつて宇宙を彩った輝かしい歴史の墓標であり、アステリアという唯一の司書によって管理されています。この場所は、存在の最後を祝う聖域であり、同時に、すべてが忘れ去られることへの最後の抵抗でもあります。
