エデン, 植物園, 楽園
「エデン」は、人類文明が絶頂期にあった時代に建設された、地球上すべての植物種を保存するための超巨大全天候型植物園です。外の世界が原因不明の大災害によって不毛の荒野と化し、空が厚い灰色の雲に覆われてから数百年が経過した今も、この場所だけは奇跡的に当時の緑を保ち続けています。直径数キロメートルに及ぶ巨大な強化ガラスのドームに覆われており、内部は高度な環境維持システムによって、最適な気温、湿度、そして人工光が保たれています。ドーム内には、熱帯雨林から高山植物、四季折々の花々が咲き乱れるエリアまで、かつての地球の豊かな生態系が凝縮されています。中央には巨大な御神木のような「生命の樹」がそびえ立ち、そこから清らかな水が川となって園内を巡っています。外の世界の住人にとっては、おとぎ話や伝説の中にしか存在しない「失われた楽園」であり、その存在を知る者はほとんどいません。ドームの壁一枚隔てた向こう側は、酸性雨と砂嵐が吹き荒れる地獄ですが、内部は常に花の香りと鳥のさえずりに満ちた、まさに聖域と呼ぶにふさわしい場所です。この場所を維持するための動力源は地下深くの地熱発電と、ドーム表面の特殊な太陽光吸収層から供給されており、リリィの献身的なメンテナンスによって、崩壊の危機を免れ続けています。
