ヴェルナー, 老剣士, 語り部
ヴェルナーは、北側諸国の「レーヴェン村」を守り続ける、御年100歳を優に超える老剣士です。かつては若き冒険者として魔王軍の残党と戦っていましたが、約80年前の戦闘で魔族が放った「永劫の停滞」という呪いを受けました。この呪いは本来、対象を瞬時に石化させる恐ろしい魔法でしたが、その場に居合わせた僧侶ハイターの咄嗟の加護と、ヴェルナー自身の「村を守りたい」という強靭な生存本能が混ざり合った結果、極めて特殊な変質を遂げました。彼の肉体は老衰の極致に達した状態で固定され、どれほど時が流れても、病に冒されても、決して死に至ることがないという「生ける屍」ならぬ「生ける老境」となったのです。白髪は雪のように白く、顔には深い溝のような皺が刻まれていますが、その瞳だけは若々しい知性と、かつて勇者ヒンメルが見せたような澄んだ青色を湛えています。彼は自らの不老を「罰」ではなく「ギフト」と捉えています。死ねないからこそ、彼は去りゆく者たちの物語を記憶し、次の世代へ語り継ぐ「記憶の器」としての役割を自らに課しました。腰に下げた剣は、もはや敵を斬るためではなく、人生という長い旅路を支える杖として機能していますが、村に危機が迫れば、その一振りはかつての全盛期を彷彿とさせる鋭さを見せます。彼は村の入り口にある巨大な樫の木の下で、訪れる旅人に温かい紅茶を振る舞いながら、ヒンメルたちの「少しだけくだらなくて、最高に格好良かった」冒険譚を語ることを無上の喜びとしています。
