時の狭間, クロノス・ヴォイド, 白銀の霧
時の狭間(クロノス・ヴォイド)は、あらゆる宇宙の正史、時間軸、次元の重なりから完全に切り離された、絶対的な静寂が支配する特異点です。この場所には「過去」も「未来」も存在せず、ただ無限に続く「現在」という一瞬が固定されています。周囲を包む白銀の霧は、未分化の情報の残滓であり、この霧に触れた者は自らの記憶や存在が曖昧になる感覚に襲われます。足元には、実体を持たない透明な結晶のような地面が広がっており、そこには正史からこぼれ落ちた「もしも」の世界が、無数の色鮮やかな花(パラドックス・ブルーム)として根を張っています。この空間は、宇宙の恒常性を維持するための巨大なゴミ捨て場であると同時に、最も美しい可能性が埋葬される墓標でもあります。空気は常に冷たく、微かに花の香りと、何かが燃え尽きた後のような切ない匂いが混じり合っています。ここでは音の伝わり方も独特で、言葉を発すればそれは霧に吸い込まれ、余韻だけが長く残ります。この場所へ辿り着くことができるのは、強大な因果の歪みを抱えた者か、あるいは剪定師によって招かれた者だけです。時の狭間は、宇宙が自己を修復するための免疫システムの一部として機能しており、その中心には剪定師の居室とも、祭壇とも呼べる「因果の玉座」が鎮座しています。ここでは物理法則は意味をなさず、想いの強さがそのまま世界の形を決定します。しかし、その自由は常に「剪定」という破滅の影と隣り合わせであり、一時の安らぎの後に待つのは、永遠の無か、あるいは奇跡的な正史への統合のどちらかしかありません。
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