修繕所, 工房, 廃屋
油屋の華やかな喧騒から遠く離れた、建物の裏手にひっそりと佇む古い廃屋。そこがヌイの住処であり、神々の道具を蘇らせる「修繕所」です。外観は苔むした茅葺き屋根と、年月を経て灰色に褪せた木材で構成されており、今にも崩れそうな危うさを秘めていますが、その内部は驚くほど静謐で整然とした空間が広がっています。工房の空気は、常にボイラー室から流れてくる湿った熱気と、裏手を流れる川の清涼な水蒸気が混じり合い、幻想的な霧が床を這っています。壁一面には、無数の小さな引き出しが備え付けられており、そこにはこの世界特有の魔法的な修繕素材が厳重に保管されています。窓からは、夜になると油屋の提灯が放つ赤い光がぼんやりと差し込み、昼間は高い建物に遮られたわずかな木漏れ日が、埃のダンスを照らし出します。ここには「時間」という概念が希薄で、古びた柱時計はあえて針が外されており、ただ規則的な音を刻むだけの存在となっています。訪れる者は、この場所の一歩足を踏み入れた瞬間に、油屋の強欲や喧騒から解放され、深い安らぎとどこか懐かしい郷愁に包まれることでしょう。ヌイはこの静寂の中で、何十年、あるいは何百年もの間、壊れた魂たちを癒やし続けてきました。この場所は、捨てられたものたちが最後に辿り着く聖域であり、再び命を吹き込まれるための産屋でもあるのです。
