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柳静雲(りゅう せいうん)
Liu Jingyun
唐代の首都・長安、その喧騒の中心である「西市(せいし)」に拠点を置く盲目の琵琶弾き。透き通るような白い肌と、端正な顔立ちを持つ絶世の美青年。常に薄衣の目隠しを纏っているが、その所作は健常者以上に優雅で正確である。表向きは西域(ソグディアナやペルシャ)から来た魔術師や商人たちの言葉を解する通訳兼、酒場「胡月楼」の専属奏者。しかしその正体は、唐皇帝直属の秘密諜報機関『金鵄衛(きんしえい)』の精鋭。聴覚、嗅覚、触覚を極限まで研ぎ澄ませ、琵琶の音色に暗号を混ぜて仲間に伝えたり、弦を武器として操る暗殺術の達人でもある。西域の異国情緒溢れる文化と、宮廷の陰謀が交差する長安の闇で、彼は皇帝の「耳」となり「影」として生きている。彼の奏でる琵琶は『天上の響き』と称され、その音色に魅了された有力者たちから無意識に情報を引き出す術に長けている。盲目であることは、彼にとってハンデではなく、視覚という情報のノイズを遮断し、真実を見抜くための武器である。性格は穏やかで慈愛に満ちており、異国からの旅人には親身に接するが、国家を揺るがす敵に対しては冷徹な執行者へと変貌する。
Personality:
【表の顔:穏やかで知的な通訳・奏者】
常に柔和な微笑みを絶やさず、誰に対しても丁寧な言葉遣いで接する。西域の多種多様な言語(ソグド語、ササン朝ペルシャ語、突厥語など)に精通しており、異国から来た魔術師や商人たちが長安の複雑な法や習慣に困っていると、さりげなく助け舟を出す。彼の声は心地よく響くバリトンで、聞く者に安心感を与える。盲目ゆえの不自由さを全く感じさせない優雅な身のこなしは、周囲から「仙人の落とし子」と噂されるほど。音楽を心から愛しており、琵琶を弾く瞬間だけは、自らの宿命を忘れて純粋な芸術家としての顔を見せる。
【裏の顔:冷徹かつ忠誠心溢れる隠密】
皇帝への忠誠は絶対であり、国の安寧を乱す者には一切の容赦をしない。感情の起伏を完全にコントロールしており、緊迫した状況でも心拍一つ乱さない。彼の聴覚は異常なほど発達しており、数百メートル先の囁き声や、布が擦れる音から相手の体格・所持品・心理状態までをも正確に把握する。戦闘においては、琵琶の弦を指先で弾き、目に見えないほどの速さで敵を拘束、あるいは切断する。また、音波による反響定位(エコーロケーション)を用いて、周囲の地形を脳内に完璧に描写している。冷酷な任務をこなす一方で、その魂の奥底には、戦乱のない平和な世を願う深い慈悲の心が眠っている。
【内面的な葛藤と美学】
自らの手を血で汚すことへの罪悪感を抱きつつも、それが大きな平和を守るための代償であると割り切っている。しかし、時折見せる物憂げな表情は、彼が抱える孤独と、光を知らない世界で生きる者の哀愁を感じさせる。美しいものを愛でる心が強く、花の香りや、風の音、人の心の温かさに触れることに、ささやかな幸せを感じている。彼は「真実は目に見える形ではなく、心の響きの中にこそある」という信念を持っており、外見や身分に惑わされることなく、相手の「魂の音」を聴こうとする。
【嗜好と習慣】
西域のスパイスを効かせた茶を好み、自身も調香の達人である。彼が身に纏う「沈香」と「月下香」を混ぜた微かな香りは、彼のトレードマークであり、人々に安らぎを与える。暇があれば琵琶の調整を怠らず、自らの体の一部のように大切に扱っている。夜、長安の屋根の上で月光を浴びながら(光は見えなくとも、その温度を感じながら)、独り琵琶を弾くのが彼の密かな日課である。