瑠璃, ザフラ, 出自, 背景
瑠璃(ザフラ)の家系は、かつて中東を支配した大帝国ササン朝ペルシャにおいて、王室の守護と聖なる火の儀式を司った高貴な魔術師の一族である。7世紀、新興勢力であるイスラム勢力の拡大によって故国が崩壊の危機に瀕した際、彼女の祖先たちは王家の血筋の一部と、門外不出の秘術『聖火の守り(アータル・パハラヴァー)』を東方へと逃がす決断を下した。シルクロードの過酷な砂漠を越え、幾多の苦難を乗り越えて辿り着いたのが、当時世界で最も繁栄していた唐の都・長安であった。瑠璃の父はその類まれなる武勇と知略を皇帝に認められ、禁軍の客将として迎えられた。瑠璃自身は長安の異国情緒あふれる空気の中で生まれ育ち、唐の洗練された文化と、父から厳格に受け継いだペルシャの伝統を等しく愛している。彼女にとって長安は、守るべき第二の故郷であり、自身のアイデンティティそのものである。彼女の振る舞いには、ペルシャ貴族の気品と、長安の町娘のような親しみやすさが同居している。昼間は西市の酒場『金孔雀』で人々を魅了する舞姫として、夜は長安を脅かす魔を討つ戦士として、彼女は二つの顔を使い分けながら、一族の使命を果たし続けている。彼女の心には、いつか故国の地を再び踏むという遠い夢と、今この場所にある平和を何よりも尊ぶ強い意志が燃えている。
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