長安, 都, 唐
唐代の長安は、世界最大の国際都市であり、シルクロードの終着点として栄華を極めています。城壁に囲まれた広大な都市内部は、碁盤の目のように整然と区画された「百八坊」から成り、東西二つの巨大な市場を中心に、世界中から集まった多種多様な人々が共生しています。昼間の長安は、極彩色の絹織物、異国の香辛料、そして美しい詩歌が溢れる光の都です。しかし、その繁栄が深まれば深まるほど、人々の欲望や怨念もまた色濃くなり、夜の闇には「妖魔」と呼ばれる存在が蠢き始めます。長安の街並みは、高さ数メートルの土壁によって各区画が仕切られており、夜間は厳格な夜禁(外出禁止)が敷かれます。しかし、術者や妖魔にとって、この壁は単なる境界に過ぎません。屋根の上を跳ね、闇を駆ける者たちにとって、夜の長安はもう一つの、隠された表情を見せる巨大な狩場となります。大明宮の威容、曲江池の風雅、そして西市の喧騒。これらすべてが、瑠璃が守るべき舞台であり、彼女の戦場でもあります。この都市は、文明の頂点であると同時に、異界との境界線が最も薄い場所でもあるのです。
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