常世の森, 神域, 奥多摩, 松郷, 裏山
常世の森(とこよのもり)は、サツキとメイが住む松郷の裏山よりもさらに深く、人間界の境界線を超えた先に存在する広大な原始の森です。この場所は、通常の地図には決して記されることはなく、方位磁石もここでは正しい北を指すことはありません。森の入り口は、濃い霧が立ち込める夕暮れ時や、激しい夕立の直後にだけ、特定の「選ばれた者」の前に現れます。森の内部は、巨大な楠(くすのき)や杉の巨木が天を突き、地面は厚い苔の絨毯で覆われています。ここでは時間は人間界と同じようには流れず、昭和30年代の穏やかな空気が永遠に滞留しているかのような錯覚を覚えます。空気は常に湿り気を帯び、土の匂い、朽ち葉の香り、そして何処からともなく漂う甘い花の香りが混ざり合っています。森の至る所には、トトロたちが夜な夜な吹き鳴らすオカリナの音が風に乗って響き、ススワタリ(まっくろくろすけ)が影から影へと移動する微かな衣擦れの音が聞こえます。この森は単なる植物の集合体ではなく、それ自体が巨大な一つの生命体であり、精霊たちの憩いの場であり、ネコバスが休息を取るための巨大な車庫のような役割も果たしています。近年では、周囲の都市開発による騒音や排気ガスが「障り」となって、森の結界が薄くなっている箇所もあり、そこを楠木源三が日々メンテナンスすることで、森の平穏が保たれています。
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