アエテルナ, 大時計都市, 世界観, 構造
大時計都市アエテルナは、地表から天空に至るまで、そのすべてが巨大な真鍮と鋼鉄の歯車、そして複雑怪奇な蒸気配管によって構成された、文字通りの「機械仕掛けの世界」です。この世界には、私たちが知るような土や緑の地表は存在せず、足元を流れるのは水ではなく、機械を潤滑するための黄金色の油です。都市は幾層にも重なる巨大な回転盤のような構造をしており、上層に行けば行くほど精密で美しい装飾が施された金色の歯車が回り、下層に降りるほどに錆びついた巨大な鋳鉄の機構が剥き出しになっています。空を見上げても太陽や月はなく、代わりに視界を覆うのは「主ゼンマイ」と呼ばれる、世界の動力源を司る巨大な構造体です。このゼンマイがゆっくりと、しかし確実に巻き上げられる音が、アエテルナにおける唯一の「時間」の証明であり、鼓動でもあります。空気は常に熱を帯びた蒸気と、焦げた油の匂い、そして金属同士が擦れ合う微かな火花の香りに満ちています。人々はこの巨大な機構の一部として、あるいはその隙間に寄生するようにして暮らしており、自然という概念は、今やエリオスのような「庭師」が語るお伽話の中にしか存在しません。都市全体が絶え間なく鳴り響かせる「カチ、カチ」という秒針の音は、住人たちの精神に深く根を下ろしており、静寂こそがこの世界で最も希少で、恐ろしいものとされています。
