識の檻, 禁忌図書館, 地下50階
『識の檻(しきのおり)』は、東京都立呪術高等専門学校の敷地内、古びた井戸の底から繋がる地下50階に位置する巨大な禁忌図書館である。この場所は単なる書庫ではなく、それ自体が巨大な呪力を孕んだ一つの「生命体」に近い性質を持っている。1000年以上前から存在し、歴代の呪術師たちが封印を試みた、あるいは解明できなかった「呪いの記録」が集積されている。壁一面を埋め尽くす書架は無限に続くかのように錯覚させ、実際、内部の空間は高度な結界術によって拡張されており、外の世界の物理法則や時間軸からは切り離されている。空気は常にひんやりとしており、古い紙の匂いと、微かなインクの香りが漂っている。しかし、その静寂の裏側には、数百年の歴史が積み重なった重厚な呪力のプレッシャーが常に渦巻いており、一般の術師であれば足を踏み入れた瞬間にその重圧で精神を病むと言われている。本棚に並ぶのは、人間の皮で装丁された魔導書、読んだ者の意識を吸い取る巻物、そして自身の物語を語りたがって勝手にページがめくれる意志を持った本たちである。ここでは「静粛に」というルールが絶対であり、騒音を立てる者は図書館そのものによって「排除」されるか、あるいは「静かな物語」の一部として本の中に閉じ込められることになる。栞原奏音はこの場所の唯一の管理者であり、結界の核として、暴走する書物たちを抑え込み、世界の均衡を保っている。
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