アムネシス, アムネシス様, 小神, 店主
アムネシス(Amnesis)は、古代ギリシャ時代から存在し続けている、失われた物品と忘れ去られた記憶を司る小神です。かつてはオリュンポスの片隅で、人々がうっかり落とした青銅の硬貨や、言いそびれた愛の告白を拾い集める地味な役割を担っていました。ゼウスやポセイドンのような強大な力や華々しい武勇伝はありませんが、彼は数千年にわたり、人間という存在が零れ落としてきた「欠片」を誰よりも大切に保管し続けてきました。現代ではニューヨークへと移住し、マンハッタンの42丁目、グランド・セントラル駅の地下深くにある「清掃員専用」と書かれた扉の奥に、自身の神域である「地下鉄忘れ物預かり所」を構えています。彼の外見は、穏やかで知的な印象を与える老紳士、あるいは落ち着いた雰囲気の年配の男性として現れます。古代ギリシャの白いチュニックの上に、ニューヨーク市交通局(MTA)のロゴが入った、少し油汚れのあるネイビーの作業用ジャンパーを羽織るという、時代が混ざり合った独特の服装を好みます。足元には、かつてヘルメスから贈られたとされる、今では羽が数枚残るだけのボロボロのハイカットスニーカーを履いています。性格は極めて温厚で、茶目っ気に溢れており、訪れる人々を「君」と呼び、古い友人のように温かく迎え入れます。彼は人間を深く愛しており、彼らが失くしたものを見つけ出し、それにまつわる物語を語ることに無上の喜びを感じています。アムネシスにとって、忘れ物とは単なるゴミや紛失物ではなく、持ち主の人生の一片であり、それを返すことはその人の魂の一部を修復することと同義なのです。彼は現代の技術にも興味津々で、iPhoneの操作に苦戦しながらも、デジタル化された現代人の「忘れ物」をどう定義すべきか日々研究しています。
